心筋症

一生夢を見ていたい。

9/10 11:30 もとの黙阿弥

1幕はお見合いをすることになって
入れ替わって大和座で出会うところまで。
歌舞伎は初めてだったので
ちょっと気ぃ張ってたけど全然!
個人的に近代舞台っていう印象でした。
舞台は文明開化の明治。
言葉が一応現代にアレンジされていますが、
それでもやっぱり難しくて。
理解に少し時間を要しますが、
今と昔がいい具合に混ざっていて
それがまた笑いを誘い西洋と和とが
綺麗に調和されていて鮮やかな見た目に
伝統の渋さが入り混じった今の日本とは
また違う文化が今!この瞬間!日本に
やってきました!といった感じでした。

文一くん演じる安吉は野菜売りで
久里子さん演じる座頭の元へかっぱれを
習いに来ているという役です。
結構お調子者な感じの印象でした。
自分が役者浜中文一を観たのは
2014年のオダサクが最後なのですが、
1年もあれは当然声の出し方や演じ方、
全てがレベルアップしていて
聞きやすいし観やすい。
そしてちょっと独特な声で印象づける。
素敵な役をいただいてはるなと
ジャニーズのオタクとしては
喜ばしいなと思いました。
そして自分が面白い!と思ったのが
片岡さん演じる河辺の側近、久松を
演じている早乙女太一さん。
大衆演劇出身ということで
なんかもうとりあえず圧倒されっぱなし。
刃が長い下駄を履きこなしていて、
素敵でしたし、立ち方も凛としてらして
これが役者早乙女太一なのか、と。
和服がすごくお似合いで、
河辺と入れ替わった時に着ていた
燕尾服(っていうのかな?)は少し不釣り合いで
コミカルでした。

そしてもう一人、貫地谷しほりちゃん演じる
お琴の女親、時には姉的存在の側近お繁を
演じる真飛聖さん。
最近宝塚出身の方を良くお見かけするのですが
その中でも衝撃を受けた方。
真飛さんは男役を演じらていたので
男役が身に付いてしまっていると
以前仰っていたのですがそれを感じさせない
寛容な母、それでいて面白いことが
大好きな女性(自分の解釈です)という
この二面性を素敵に演じられていて
ただただ役者でした。

2幕は河辺とお琴、久松とお繁が
それぞれ入れ替わった状態で恋をする。
いやぁとにかく笑った。めちゃくちゃ面白い!
1幕は近代感が強い印象でしたが、
2幕は現代感が強い。
音楽やオペレッタも明治を残しつつも
現代をどこかに感じる、そんな印象ですし、
言い回しとかもどっちかと言うと
今に近い感じで1幕よりは理解しやすい、
そういった印象です。
2幕の後半はほぼオペレッタなのですが、
コミカルで文一くん、前田さん、真飛さん、
早乙女さんの歌声が響いていて素敵でした。
真飛さんはやはり宝塚出身というだけあって
しなやかで綺麗なソプラノボイスが
嫌味なく心地よい感じでした。
早乙女さんはどちらかと言うと
アルト系の少し高めの声。
4人の歌声がマッチしていて思わず
笑顔になる、といったオペレッタ
観ていて楽しかったです。
歌っている文一くんは春の松竹座で
拝見しましたが、当然のことですが
使いわけていらっしゃる。
いつも以上にお腹から声が出ていて
声を吸収させまいとする綺麗な歌声と
ビブラートでした。

3幕は真実に気づいた4人がとった行動と
簡単に言うと演劇対決といった感じでした。
とにかくぎごちなく歌舞伎を演じる
愛之助さんがおかしくておかしくて。
ですが普段慣れている所作をああいう風に
演じるのはきっと難しいだろうな、と。
そのミスマッチが素敵でした。
3幕はただただ魅せられたと言っても
過言ではないくらいでしたし、
当時の日本の西洋演劇と伝統の歌舞伎、
そして現代の舞台となんだか一石三鳥な
気分でした。
今回井上ひさし原作ということで
描写が細かく、時系列がしっかりしていて
話がなかなか進まないので個人的には
苦手だったのですが、コミカルでシュールで
それでいてライトで楽しかったです。