心筋症

一生夢を見ていたい。

4/21 14:00 それいゆ

頭痛に浮かされながらの観劇で更新遅れました。笑

再演ということで、前回の初演でものすごく感動しまして。(全く言葉にはできてなかったですけど。)

話自体は変わりありませんでした。

以下個人的感想です。

 

 

 

 

 

 

 

最早、全員不器用なんじゃないかと思えてきました。

主人公、中原淳一は誰がどこから見ても不器用だと思える人で。現状に満足せず、常に新しいことを追い続け、美しさとは何か、を常に考え続けそれ故に周りを取り巻く友人や、弟子までもが離れていってしまうという何とも切ない人です。妥協することなんていくらでもできるのに、自分が満足しないからと手を抜かず、その姿勢は鑑とも言えるとは思うんですが、常人には理解できない精神だな、と思います。

そんな淳一のファンであった舞子だって、純粋に夢を追いかけているように思えますが、両親の都合で、一緒になりたくもない男と結婚させられ、ストリッパーになります。淳一と決別する日、舞子は淳一に私だって我慢してるんだから、先生も我慢してよ、少女の友で挿絵を描いてよ、と懇願しますが、今迄素直に生きていたとは思えない程の悲愴感で。今迄内に秘めていたものが全部出てしまった、みたいな。その後、両親が亡くなり、一人になった舞子は男と別れ、女優を目指すのですが、それまでにそんな絶望の数年を過ごした中で一度、淳一に出会ったということが、舞子にとって一番の救いだったのかな、と思ったり。自分の希望だった少女の友の挿絵を描いていた淳一に、堕ちるところまで堕ちた自分を見られた辛さというか、悲しさ、というか。でも、あの時天沢が舞子に出会って淳一に言っていなければ、出会うこともなかったし、舞子が夢を思い出すこともなかったのかな、と。

天沢は生き方もですが、特に性格が不器用だな、と思いました。舞子に連れられ、初めて淳一のアトリエに行った時、桜木が使う英語にきちんと突っ込んだり、淳一の服装に驚いたり。あの中で一番、あの頃の日本を気にしているように思えました。国のために戦争に行かなければいけないのに、肺結核を患ったため、出兵を免れたことに負い目を感じているのかな、と。そして、最期まで淳一の元を一度も離れなかった天沢ですが、天沢は淳一が一番弱くて、孤独な人間だと分かっていたからではないかな、と感じました。淳一を独りにすると本当にこの人は周りが見えなくなってしまう、と思ったのかな、と。信頼していた弟子が離れ、友達だった舞子と絶交し、理解者だった編集者は降板と共に離れ、どこから見てもおかしいけれど、素敵な淳一を支える人は自分を救ってくれた自分しかいないんじゃないか、と。しかし、その考えこそが一番素直で不器用だな、と思います。

桜木は、淳一に振り回されながらも師事している挿絵作家です。自分は、桜木こそが一番不器用なんじゃないかな、と思いました。と言うのも、2幕で淳一を裏切り、以前淳一の才能を見出し少女の友の専属作家にした山嵜の依頼で、ひまわり社以外の雑誌の挿絵を描いてしまいます。淳一には、給金が足りないなら僕に言えば良いと言われ、その時には僕にだって生活があるんです、と言っていますが、本当は違うんじゃないかな、と。何年も淳一に従事している中で、自分は求められたものだけを書けば良いと思っている桜木と、自分の満足のために妥協をしない淳一の間で考え方の違いが生じてしまったが故のフラストレーションの爆発じゃないかな、と思うんです。こんな挿絵で満足なのか?と淳一に聞かれ、満足しなくてもお金はもらえると考える桜木。誰よりも長い月日を過ごしていた2人がこんなにも簡単に終わってしまうのか、と。けれども、桜木は淳一に感謝しているから、最後にお世話になりました、と悔しそうに言うんですよね。泣きそうな声で。もうすごく切ない。何故1枚の挿絵でこんな辛い別れをしなければならないのか、と。桜木もそこまで言えるんだったら、妥協してこれから先も淳一に師事していれば良いのに。そこまでして意地を張りたかったのか、自分が描いた挿絵について核心を突かれたからなのか。どっちにせよ、切なすぎる話ですね。

 

と、今回の再演ではメインの4人について書いてみました。

自分が思ったことなので、全く違うこと言っているかもしれません。

それでも言えることは、再演がされること素敵な舞台だと言うことです。